とても穏やかな一方芯が強い印象のAさん。
つながり会員契約以降、死後事務内容についてエンディングノートで打合せ。
様々な質問に明確に答えて下さいます。ただ、遺言書作成にだけは抵抗を示されました。
子どもがいないこと・推定相続人が多数且つ遠方なことなど
会員逝去後死後事務を終え相続人に引継いだ以降、結果的には相続人が士業に
相続手続きを依頼するケースが多い、僕たちの経験を伝えてもノーでした。
Aさんに関して僕たちが何度も遺言書作成を勧めていたのは、
上記理由よりも何よりもワンちゃんの事です。
もしワンちゃんより先にAさんが亡くなったら。
ワンちゃんを残して旅立った奥様と向こうで会った時に悲しみませんか。
そんな話をして遺言書作成を勧めていました。
「どっちも高齢やけど、自分は前期高齢者やし大丈夫やろう。」
そんな中、自宅内での急死でした…。
財布に入っていたつながり会員証を見た警察から連絡が入り、
深夜までかかった検視のうえ、Aさんを引き取り葬儀社へ搬送。自宅内にはワンちゃんを残したまま。
エンディングノートに基づいて葬儀社と打合せ中も頭の中はワンちゃんのこと。
葬儀社の担当者に心配な点としてワンちゃんのことをポロっと口にする僕。
翌日の通夜。
昨日とは別の葬儀担当者から
「ワンちゃんの件で社内で話をしていたら、一定期間預かっても良いと申し出ているスタッフがいます。
いかがでしょうと。」
大きな声で感謝を伝えました。
しかし、法的にはワンちゃんも相続財産になる点などを伝え、すぐに回答出来ない旨を伝えます。
ここで話は終わると思っていたら、
「今自宅なんですよね。水と餌、冷房はあっても散歩は?」と真剣な表情で聞いてきます。
僕も真剣に法的な部分と命あるワンちゃんへの気持ちの部分のバランスや、相談していく優先順位など、
詳細に説明をして、申し出の気持ちを十二分に受け取り、葬儀担当者も理解下さいました。
僕がポロっと口にした心配を、
社内で共有し、事務所内だけでなく会社全体で話をしている風景を想像し、
すごく良い雰囲気の会社なんだなぁと感じました。感銘を受けました。
しかも、本来の業務ではないことなのになぜそこまで真剣に。
葬儀社も僕たちも命が尽きた後の事がメインの仕事のひとつ。
だからこそ故人が残した命あるワンちゃんに真剣になるのかも。
ワンちゃんを相続人に引継げるまでの間、何としても守りたいと感じたエピソードです。
Aさん、そして奥様。見ててくださいね。